被災者の「心のケア」は慎重に H23.6月15日号

 今回の東日本大震災で「心のケア」の重要性が連日、報道されていますが、実際に心のケアとはどのように行われるのでしょうか?

 辞書を引けば「ケアとは、看護、注意、配慮すること」と書かれています。現在、ボランティアの方々、またはある自治会では「ココロ癒やし隊」との名称を付け、心のケアに奔走されています。頭の下がる思いです。
しかし、ここで心の専門家としてあえて苦言を呈します。その苦言とは専門家以外の方々がケアすることによって、崩壊寸前の心を全壊させてしまうというリスクが生じるからです。前述の通り、適切なケアを実施するには、看護を含めた、細心の注意と配慮が必要なのです。
例えば被災した子どもに、「みんな頑張っているんだから負けてはいけない」、「まだ、生きられていることに感謝しないと」等の言葉を掛けたとします。これを聞いた子どもは、「悲しんだり、泣いたりしてはいけないんだ」、「ボク(ワタシ)は、弱い子なんだ」と感じます。
となれば、今の不安感、恐怖感などの感情を抑圧し、元気に振る舞ってしまうのです。
この抑圧が後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)として重いストレス障害に悩まされます。また、それが引き金になって、うつ病を発症したケースも多々あります。
主なケアの方法は、「聴く」ことです。では、何を聴くのか?
被災した悲しみ、怖さ、不安のすべての感情を聴くのです。安易な励ましや、安易な未来予測的な事を言ってはダメなのです。故にカウンセリング、心理療法を施術できる専門家が必要なのです。
次号では災害心理学の観点から、具体的なケアの方法をお伝え致します。

こころの教育Q&A 子どもの心理を知ろう
家庭教育専門カウンセラー 深田 昭一 さん
心理分析室 深田昭一事務所
TEL 06(6942)0605

大阪青年会議所会員(文化都市推進委員)
元暴走族から更生、教師を経てカウンセラーに転身。現在、カウンセリング、並びに各地での講演活動を実践。テレビ、ラジオなどにも出演。

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