被災者の「心のケア」は慎重に(2) H23.7月15日号

 「災害後の心のケア」はどのように行われているのでしょうか?(前号の続き)

 前号では「心のケア」は専門家に委ねるべきであると提言しました。さて、それでは専門家はどのようなケアで、後のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を未然に防ぐのかということなのですが、その前に、ある精神科のドクター指示文をご紹介します。
「震災で親、兄弟、友人を亡くした子どもに対して、その話題には一切触れず、とにかく楽しい遊びをさせて気持ちを紛らわせてやってください」。さてこの指示文を読まれてどうお感じになられたでしょうか?「その通り」と思われた方、それは全く間違った対応です。これはその場限りの対応に過ぎないばかりか、前述の、PTSDになれと言わんばかりの対応です。
まず行わなければならないことは「暴露療法」と呼ばれるものです。前号でも触れました通り、子どもの恐怖心、悲しみ、不安をすべて吐き出させることから始めないといけないのです。ケアをする側も、される側も大変つらい作業ですが早い段階でこのような措置を取らないと、特に子どもはすべてのマイナス感情を無意識という心の領域に抑圧します。この抑圧された感情が後にストレス障害として出てくるのがまさにPTSDなのです。歯が痛いのに歯医者にも行かせず、痛み止めを飲ませる。その間、歯はますますむしばまれていくのと同じ道理です。また、「地震ゴッコ」「津波ゴッコ」と称して、震災を受けた状況を遊びという形で再現させたり(遊戯療法)、絵を描かせたり(絵画療法)するのです。
このような措置、療法には専門的知識が必要となります。故に専門家以外の人が、安易に対応してはいけないということなのです。

こころの教育Q&A 子どもの心理を知ろう
家庭教育専門カウンセラー 深田 昭一 さん
心理分析室 深田昭一事務所
TEL 06(6942)0605

大阪青年会議所会員(文化都市推進委員)
元暴走族から更生、教師を経てカウンセラーに転身。現在、カウンセリング、並びに各地での講演活動を実践。テレビ、ラジオなどにも出演。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です