医者と患者がそれぞれ思い込みで話してしまうと完全に話はそれていく。病院ではこのかけ違いは許されない。
長い間、循環器専門医として患者さんへの説明など多くの時間を費やしてきたが、ヒヤッとすることは少なからず経験してきた。
特に患者さん目線で話すことは重要である。重要なことは3回は繰り返すことにしている。経験から代表例を出してみよう。
若い時の経験が患者さんへの説明の基本姿勢を決定的にした。
時間をかけて「べんまくしょうは危険であり、べんが悪いことで症状が引き起こされており、べんを何とかすれば長生きできる」とべんを強調した。30分ほどして「どうですか?」と聞き返した。患者さん曰く「私は便秘はないけどね!」。 患者さんにとってべんは「便」であった。「弁」ではなかったのである。患者さんは初めから便として聞いていたのである。不思議とそれでも説明の整合性はあったようである。その日から、説明はべんの意味から始め、弁膜症の説明に進むことにした。
次に心不全という状態は、循環器にとって重要な治療目標である。
特に水分制限は大切な日常の管理項目となる。
ある患者さんは処方遵守、水分制限はできている、と言っていたが改善が思わしくない。「本当に水分は守っていますか?」「当然ですよ、水分は制限して、お茶にしているよ」。この手のかけ違いはやはり医者の説明に分が悪い。
我々がする講演でも一番難しいのはやはり専門医相手よりは一般市民の皆さんへのものである。
言葉を選ぶし、誤解が無いように回りくどく話す。市民が自分に合った説明だけを鵜呑みにするのは日常なのである。
今回より始まったこの枚方公済病院シリーズでは、各担当医から患者目線に沿った病気の話を掲載していこうと思います。乞うご期待!
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病院長 野原 隆司
S52年 京都大学医学部卒業 H13年 北野病院循環器科部長 H15年 京都大学医学部臨床教授 兼任 H17年北野病院副院長 H25年4月 枚方公済病院 病院長
専門分野:循環器疾患、心臓リハビリテーション

枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
TEL 072-858-8233

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