枚方公済病院シリーズ:心臓弁膜症

心臓の中に左心室という分厚い筋肉でできた部屋があって、この部屋が力強く収縮して大動脈を通して全身へ血液を送り出します。左心室の入口・出口にはそれぞれに扉があって収縮・拡張する度に開閉して効率よく血液を前に進めます。この扉を「弁」と言って、弁の開閉が悪くなると弁膜症と言われ、進行すると心臓の機能を低下させて、心不全を引き起こします。
左心室への入口の扉が僧帽弁、左心室から大動脈への出口の扉が大動脈弁です。弁の開きが悪くなる(狭窄症)と血液が通り難くなり、弁の閉まりが悪い(閉鎖不全症)と逆流して血液が前へ進み難くなります。
弁膜症は特殊な疾患から突然起こることもありますが、多くは加齢も関係して徐々に進行することが多いです。根本的な治療は機械的な弁の修復や置換になりますが、開胸の手術や特殊なカテーテルの処置が必要で、いずれも侵襲と危険を伴います。
心不全の原因には弁膜症以外にも多くの要因がありますので、まずは心臓の負担を全体として調節して付き合っていくのが大事です。通常は投薬で心臓の負担を減らして心臓の機能を安定化させながら、必要性と危険性を考えて、機械的な弁の処置が検討されます。
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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
枚方市藤阪東町1丁目2番1号
TEL 072-858-8233

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