おもろいんやで歴史漫談:日本最古の軍歌 樟葉に響く!


日本最古の軍歌
樟葉に響く!




考古学研究家 植田正幸




 日本史上最大の内戦、戊辰戦争。鳥羽伏見の戦い(慶応4年)で薩摩・長州・土佐藩の新政府軍が勝利し、大勢が決しました。翌月には新政府総裁、有栖川宮熾仁親王が東征大総監として東海道を江戸に向かって進軍を開始。「はつぶりがさ」という円錐状のトンガリ帽子を被った薩摩藩兵が、敵将の首をぶら下げ、錦の御旗を高く掲げ「とことんやれ節」の軍歌と共に歩を進めます。  「宮さん宮さんお馬の前にヒラヒラするのは何じゃいなトコトンヤレ、トンヤレナ あれは朝敵征伐せよとの錦の御旗じゃ知らないかトコトンヤレ、トンヤレナ 伏見、鳥 羽、淀、橋本、樟葉の戦はトコトンヤレ、トンヤレナ… 音に聞えし関東武士どっちへ逃げたと問ふたればトコトンヤレ、トンヤレナ 城も気概も城も気概も捨てて吾妻へ 逃げたげなトコトンヤレ、トンヤレナ 国を追うのも人を殺すも誰も本意じゃないけれどトコトンヤレ、トンヤレナ…」
 この歌詞内の関東武士とは壬生狼といわれた新選組。血で血を洗う激戦が、くずはモールそばの京街道で繰り広げられていたのです。この軍歌らしくない明るいメロディーは小学唱歌にも収録され、現在も自衛隊により演奏されています(You Tubeなどで視聴できます)。
 ウクライナの悲劇にも似た阿鼻叫喚が、かつて樟葉付近一帯に広がっていたことを知るのは枚方市民の務めなのかもしれませんね。




考古学研究家 植田正幸
埋蔵文化財発掘調査担当を経て、考古学・歴史講座を行う。 考古学・古代史探訪サークル顧問・専任講師 「生涯青春塾」北河内歴史講座を担