枚方公済病院シリーズ:狭心症発作

心臓が発作的に問題を起こす病気の代表に狭心症があります。心臓を栄養している動脈(冠動脈)が狭窄して、心臓の一部分への血流が低下して、酸素不足で苦しくなります。これが狭心症発作です。
狭心症発作の症状に特徴はありますが、決まった部位はありません。胸に症状が出る場合が多いですが、実は下顎、首、肩、腕、胸、背中、みぞおちまでのいずれの部位に症状が出ても不思議はなく、奥歯の辺りが痛苦しいということもあります。症状の特徴は、比較的広い範囲で起こる約1分以上持続して押さえ付けられるような、絞られるような痛さや苦しさで、典型的には冷汗や気分不良を伴って動けなくなります。ただ、長年の糖尿病患者さんや高齢の方は症状がはっきりしない場合もあり、注意が必要です。
また、労作時に発作が起こって安静で治まる労作性狭心症(冠動脈が物理的に狭い)と、安静時に突然起こる冠攣縮性狭心症(冠動脈壁の筋肉が発作的に収縮する)の2つのタイプがあります。
強い狭心症発作は命に関わる危険な不整脈を引き起こしたり、約10分以上持続すると心筋梗塞に移行する可能性があります。狭心症を疑う症状が起こり、治まりが悪ければ救急車を呼んででも医療機関を受診ください。病気が起こるメカニズムの一つに自己免疫があります。関節リウマチや膠原病などかつて原因不明とされた多くの疾患が自己免疫に因ることが判明しています。

免疫は体内に侵入したウイルスや細菌などの外敵を攻撃・排除するシステムで、抗体という外敵を認識する蛋白質と白血球が中心的な役割を果たします。そもそも外敵と自分自身を正確に区別するのは難しく、自分の一部分を外敵と誤認して攻撃する、これが自己免疫です。原因は幾つか提唱されていて、外敵の一部分と自分の一部分が類似していて抗体が誤認する場合、体質や病気で異常な抗体が産生される場合などがあります。

自分の一部分を外敵と誤認する抗体を自己抗体と言って、多くの自己抗体が同定されて疾患との関連が示されています。例えば体内にあるCCPという物質に対する自己抗体ができると関節炎が起こって関節リウマチの原因の一つとされ、GADという物質に対する自己抗体ができるとインスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されて激しい糖尿病を発症します。

自己免疫疾患は根治が難しく、ステロイドや免疫抑制剤投与が必要なことが多いですが、治療薬開発で経過は日進月歩で改善していて今後も期待がかかります。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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