枚方公済病院シリーズ:くも膜下失血

突然発症して命に関わる脳卒中の一つに、くも膜下出血があります。
脳と脊髄は脳脊髄液という液体に包まれています。この液体が存在するスペースをくも膜下腔と言い、脳の表面の動脈から出血すると、くも膜下腔に出血が広がって強い刺激と頭蓋内圧の上昇を来し、突然に経験したことがない激しい頭痛や意識障害を引き起こします。
毎年10万人あたりで約20人が発症し、男女比は1対2で女性に好発します。20歳未満で発症することは稀で、20歳から頻度が増え始めて50~70歳台に好発します。
発症すると3分の1が亡くなり、3分の1が重篤な後遺症を残します。若くて元気な方が突然命を奪われる病気の一つです。原因の大半は脳動脈瘤で、瘤が大きいほど破裂して出血する危険性が高くなります。未破裂の脳動脈瘤は頭部MRIの血管画像(MRA)などで偶然見つかることが多く、瘤の拡大を防ぐために、高血圧・喫煙・飲酒の管理が大事です。定期的な画像評価で必要な段階で、脳外科での血管処置が検討されます。
脳動脈瘤の原因は不明ですが、高血圧・喫煙・大量飲酒のほかに遺伝の影響が強いことが分かっています。危険性が高い方は脳ドックでの頭部MRA画像での評価をおすすめします。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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