枚方公済病院シリーズ:自己免疫疾患

病気が起こるメカニズムの一つに自己免疫があります。関節リウマチや膠原病などかつて原因不明とされた多くの疾患が自己免疫に因ることが判明しています。

免疫は体内に侵入したウイルスや細菌などの外敵を攻撃・排除するシステムで、抗体という外敵を認識する蛋白質と白血球が中心的な役割を果たします。そもそも外敵と自分自身を正確に区別するのは難しく、自分の一部分を外敵と誤認して攻撃する、これが自己免疫です。原因は幾つか提唱されていて、外敵の一部分と自分の一部分が類似していて抗体が誤認する場合、体質や病気で異常な抗体が産生される場合などがあります。

自分の一部分を外敵と誤認する抗体を自己抗体と言って、多くの自己抗体が同定されて疾患との関連が示されています。例えば体内にあるCCPという物質に対する自己抗体ができると関節炎が起こって関節リウマチの原因の一つとされ、GADという物質に対する自己抗体ができるとインスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されて激しい糖尿病を発症します。

自己免疫疾患は根治が難しく、ステロイドや免疫抑制剤投与が必要なことが多いですが、治療薬開発で経過は日進月歩で改善していて今後も期待がかかります。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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