「戦争」を子どもたちに伝える H24.4.15号

亡くなった母は、昭和2年生まれ。大阪大空襲で都島の家を焼かれた話を繰り返し聞かされたものだ。独り暮らしの父は、82歳。戦時中は此花区の工場で勤めており、何度も空爆にさらされ生き延びた。
その父が、孫に見せたいと「太平洋戦争」のDVD全10巻を持って来てくれた。
「日本人として忘れてはならない」と。
私が子どもの頃、「戦争を知らない子どもたち」という歌が流行っていた。
しかし、今では「戦争を知らない日本人」という幸せな時代が続いている。
戦争体験者は80歳を越え、軍隊経験者はもはや稀少である。
私がアメリカに留学していた時に、日本がかつてアメリカと戦争したことを知らない日本人留学生と会ったことがある。
そんな若者を育てたのは日本の教師なのだ。
思想・心情ではなく、具体的事実として「戦争」は教えなければならない。
今、「永遠のゼロ」(講談社文庫)を読んでいる。
真珠湾で、ミッドウェイで、ラバウルで、ガダルカナルで何があったのか。やはり知らなければならない。
朝鮮で、中国で、東南アジアで…。
父(祖父)と息子娘(孫)をつなぐ者として、次世代にきちんと伝えていきたい。
 

糸井 利則
1961年大阪市生。大阪教育大学国語科卒。自転車で日本一周したり、台湾や韓国に住んだり、米国テネシーの日本人学校で講師、ニューヨークでウエーターや観光ガイドをしたりして、最終的にニュージャージー州立大学修士課程を修了。
現在は大阪市立小学校に勤務

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