腎がんと鑑別を要する病気1 腎嚢胞(じんのうほう)  平成22年1月1日15日合併号

 明けましておめでとうございます。今年も引き続き、腎臓の病気について分かりやすくお話させていただこうと思います。よろしくお願い致します。
 さて、今回から腎がんと間違えやすい病気を幾つか取り上げていきたいと思います。例えば健康診断で「腎臓に何かがあるようです。一度、泌尿器科で検査した方が良いでしょう」と言われたらまず何を考えますか?「何かって何?まさかがん?」。でもちょっと待ってください。先月号でも書きましたように、腎臓にできるものの中で怖いのはがんなどの悪性腫瘍ですが、良性の腫瘍や、腫瘍と紛らわしいものが見付かる場合もあります。
 その内の一つが腎嚢胞です。嚢とは袋という意味で、液体のたまった袋状のものを嚢胞と言います。体のあちこちにでき、腎臓にあれば腎嚢胞、肝臓にあれば肝嚢胞と言います。超音波検査で見付かることが多く、通常は無症状で、治療は必要ありません。
 しかし、尿の通り道に近い場合や、10を超える大きな嚢胞は、尿の流れが邪魔されて腎臓がはれる水腎症を引き起こしたり、おなかを圧迫する症状が出る場合は、中の液体を抜き取る処置が必要です。また、まれに、嚢胞の中にがんが発生することもあるため、注意が必要です。これらの鑑別にはCT検査が有用です。いつでも泌尿器科専門医にご相談ください。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です