前立腺がん7  平成24年2月1日号

 前立腺がんの薬物療法の主体はいわゆる抗がん剤ではなく、内分泌治療と呼ばれるものです。前立腺がん細胞はテストステロンというホルモンの一つにより活動が活発になることが分かっています。そこで以前は去勢術といって、精巣(睾丸)を摘出することでテストステロンを下げる手術を行っていました。今もこの手術は行う場合がありますが、大抵は注射によりテストステロンを下げる治療が行われます。
 方法はテストステロンの分泌をストップさせる作用を持つ薬を1か月または3か月に1度注射しますが、実はこの注射だけではテストステロンを100%なくすことはできません。なので多くの場合、テストステロンの作用を阻害する内服薬を併用することで限りなくその値を0に近付けるようにします。ただ、内分泌治療はほとんどの場合、がんの根治が目的ではなく、がんを小さくしたり、手術や放射線治療の効果を高めるために行われるということを知っておいてください。
 主な副作用としては性欲減退、勃起障害といった男性機能の低下や、ほてり、発汗、うつ、乳房の女性化(乳首の痛みを訴える方もいます)、骨粗鬆症などがあります。費用的にも少し高額となるため、経済的な面についても十分考えて行う必要があります。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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