前立腺がん8  平成24年3月1日号

 前立腺がんの治療について最後に「待機療法」のお話をします。これは一定の条件を満たす患者さんに対し、何も治療を行わずに経過をみていくというものです。具体的には、がんと診断されてから定期的に前立腺がんマーカーであるPSA値を測定し、その値の上昇する速さを監視していくことから、PSA監視療法とも呼ばれています。
 と、書いてしまうと、いかにも楽な治療法だとか、「本当に何もしないで大丈夫?がんが進行するんじゃないの?」とか思われてしまいそうですね。しかし実は、治療のタイミングを見極めているだけで、その間は治療を受けることによるマイナス面を回避できるとういう利点がありますが、少しでも進行のサインがあれば、その時点で積極的に手術や放射線療法といった治療に踏み切ることになります。
 この治療法を選択できる患者さんの条件については、簡単に言うと診断時のPSA値が低いこと、がんの進行度が早期であること、そして一番重要なことは、採取されたがん組織の悪性度が低いことです。
 ただし、治療を受けないでいる不安が大きい患者さんもいるでしょうし、経過観察中にがんが進行してしまう可能性がゼロではありませんので、しっかりと適応を判断する必要があります。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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