こどもの心理を知ろう:コンプレックス①

 小学2年生のA子ちゃんの話です。A子ちゃんには背中に大きなやけどの跡がありました。身体検査の前日、母親が学校を訪れ担任の先生(児童文化研究家・故吉岡たすく先生)に「A子には背中に大きなやけどの跡があります。どうかうちの子だけ別に身体検査を受けさせてもらえないでしょうか?それもA子には分からないように…」と懇願しました。
 先生は承諾し、案を講じました。身体検査の前にあらかじめ名前の入った問診票を全員に配りますが、A子ちゃんの分だけ無いふりをします。「あっ、先生A子ちゃんの分だけ作り忘れてしまった。すぐに作ってくるから、ほかの生徒は先に保健室に入って検査を受けるように」と指示を出します。A子ちゃんは「なぜ、私の分だけ作り忘れたのだろうか」と思いながら教室で待っています。
 先生はクラスの身体検査が終わった時期を見計らってA子ちゃんを迎えに行き、「ごめんね。先生がモタモタしていたせいで遅れちゃった」と善意の嘘をつきます。背中には母親の言ってた通り大きなやけどの跡がありました。そしてその翌日、A子ちゃんの母親が来校しました。
(次号へ続く)

こころの教育Q&A こどもの心理を知ろう
関西カウンセラーズ研究会
心理分析室 深田昭一(上級教育カウンセラー)
元暴走族から更生、教師を経てカウンセラーに転身。現在、カウンセリング、並びに各地での講演活動を実践。テレビ、ラジオなどにも出演。

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