世界初のヨシ糸が地域を紡ぐプロジェクト

ヨシの育成には刈り取りなど手入れが必要。2月6日、地元農家や学生ボランティア達がヨシ刈りを。協力の輪が広がっていく



枚方市を流れる淀川河川敷に広大な「鵜殿ヨシ原」があります。多くの植物が自生し、鳥や魚が命を育む場です。そこに群生するヨシは、イネ科の多年生植物で光合成を行いCO2を吸収、地球温暖化を防ぎ、水質浄化に役立ちます。かつては葦簀や簾など地場産業が盛んで成育が守られてきましたが、近年は利用が減り、安価な輸入品に押され、立ち枯れるようになりました。
そこで、ヨシの群落保全に貢献し、環境を守りたいと10余年、㈱アトリエMayの塩田真由美さんはヨシを使った商品企画を続けてきましたが、周知されませんでした。しかし、その思いに、地元の繊維関連企業、第一メリヤス㈱、樋口メリヤス工業㈱と㈱ハヤシコーポレーション、北大阪商工会議所が賛同。淀川の地域資源であるヨシを活用した商品が流通することで、地域の自然や文化を守る仕組みを作る「世界初のヨシ糸が地域を紡ぐプロジェクト」を結成。塩田さんらが開発した、ヨシが原料の世界初の天然繊維「ヨシ糸」で、衣料や靴下など独自の技術を生かした製品を作り、商品化へと。3月からクラウドファンディングを募り、4月から事業を本格化します。

甲子園球場の約18倍の鵜殿ヨシ原(上)。ヨシを原料とした世界初の天然繊維、ヨシ糸(ヨシ30%と綿70
%の混紡糸)を開発(下)。抗菌性、
消臭、UVカット効果などが特長



国内や欧米の有名ブランドの衣料を製造する第一メリヤス・小久保貴光社長は、「淀川のヨシ原を守るため、未知の天然繊維を原料に、ニット製品を製造できることは喜びです」と、意欲を燃やしています。
こうして再び命を与えられたヨシ。生み出される製品には技術者の熱意と誇りがあります。生活の中で使われる、経済価値のあるヨシ製品を作る→必要なので育成する→ヨシによって環境が守られていく。SDGsに掲げる持続可能となる事業として、ヨシの活用は環境保全、新たな地域の名産品へと。そして、この活動が基になり、日本全国のヨシ原を守りたいと、彼らは願っています。
人が繋がることで、モノが作られていく。一緒に未来を守りませんか。協力者を募集しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です