枚方公済病院シリーズ:急性心筋梗塞

前回心臓を栄養している動脈(冠動脈)が狭窄して起こる狭心症発作のお話をしましたが、今回は冠動脈が閉塞して心臓組織が壊死する急性心筋梗塞のお話です。  冠動脈が急に閉塞して心臓の一部への血流が遮断されると、狭心症と同じく下顎、首、肩、腕、 胸、背中、みぞおちまでのいずれかの部位の広い範囲に突然の痛みや重苦しさを自覚します。典型的には冷や汗が出て、気分が悪くて動けません。数分以内に冠動脈が再開通して症状が治まれば、狭心症発作で済みますが、閉塞したままだと症状は治まらず、心臓の組織が壊死して心筋梗塞になります。

心筋梗塞を起こすと、心臓の動きが悪くなって心不全を起こしたり、電気的に不安定で危険な不整脈を起こしたり、組織が弱って穴が開いたりして、命に関わる可能性が2割近くあるとされます。

組織の壊死が完成するのに約半日近くかかるので、発症早期は1分でも1時間でも早く、血流を改善させるために緊急でカテーテルによる冠動脈の造影検査を行って、バルーン拡張やステント(金属でできた網の筒)留置による血行再建処置が行われることが多いです。

心筋梗塞を疑う症状が治まらなければ、救急車を呼んででも直ちに医療機関を受診してください。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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