星降る丘から健康便り:食道癌

消化器内科部長内視鏡センター長 徳原 満雄先生

 2021年4月より星ヶ丘医療センターの消化器内科に赴任しております徳原満雄と申します。今号から消化管癌で一般的である食道癌、胃癌、大腸癌について、3回連続でお話したいと思います。

 第1回目は食道癌です。我が国では、罹患率は人口10万人あたり男性が16.9人、女性が2.7人です。日本で頻度の多い食道扁平上皮癌発生の要因は、飲酒と喫煙です。特にアルコールを飲むと顔が赤くなる人は要注意です。飲酒により体内に生じるアセトアルデヒドは、発がん性の物質であり、アセトアルデヒドの分解に関わる酵素の活性が生まれつき弱い人が、この「顔が赤くなる」の正体です。欧米人はこの酵素活性が強いので、食道扁平上皮癌の発生率は低いのです。

 我々は食道癌のハイリスク患者を拾い上げるために問診で「コップ1杯のビールで顔が赤くなりますか?」と尋ねます。これに当てはまる人を医学的にフラッシャーと呼び、食道癌のハイリスク患者として認識し、積極的に内視鏡検査で食道癌の有無を探すようにしています。

 食道癌は進行すると予後も悪く治療も大変ですが、早期であれば内視鏡治療(ESD)により負担が少なく、食道機能を完全に温存して治療可能となりますので、早期発見が極めて大事です。  次回は胃癌についてお話したいと思います。 現在、大阪府では新型コロナウイルス検査の結果が陽性であっても、症状がない方や医学的に症状が軽い方は、保健所から送付の資料を参考に自宅での安静・療養(自宅療養)、感染対策などを自主的に行います。なお64歳(枚方市は39歳)以下の方には、基本的に保健所から療養に関する電話連絡はありません。