星降る丘から健康便り:大腸がん

消化器内科部長内視鏡センター長 徳原 満雄先生

 今号は大腸がんです。発症数は1年間で約15万人です(2017年、2018年データ)。発見に重要なのは大腸がん検診で推奨されている便潜血検査(2回法)です。1回でも陽性になれば大腸内視鏡検査を実施します。
 大腸腫瘍(いわゆるポリープ)の約8割は良性で腺腫と呼ばれ、このうち悪性のタイプが腺がん、つまり大腸がんです。ただ、腺腫でも大きいものはがんを含んでいる可能性、もしくは将来がん化する可能性があるため、この段階で内視鏡的に発見・切除する必要があります。
 腺腫もしくは浸潤が粘膜にとどまる腺がんの内視鏡治療は、腫瘍のサイズ・形態により、ポリペクトミー、EMR (内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の3手法を使い分けて行います。2㎝以上のものに対しては、ESDが必要となります。ESD は技術的に難易度が高いため、専門施設で約1週間の入院が必要です。
 当院では大腸ESDの実績・症例数も多く、積極的に実施しております。大腸では、早期がんや腺腫の段階で内視鏡的に発見・切除することで大腸がんの罹患率ひいては死亡率まで減少できることが分かっていますので、これらの内視鏡治療を適切な段階で受けることが重要となってきます。

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医学博士 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員 日本消化器病学会専門医・指導医・近畿支部評議員