枚方公済病院シリーズ:便秘症

国民生活基礎調査によると慢性便秘の有症率は60歳までは男性の約1%、女性の約4%と女性に多く、加齢によって増加します。高齢になると男女差は縮まり、80歳以上では性差が無くなって10%を超えます。また、便秘症があると予後が悪いことが分かっています。
便秘のメカニズムには、大腸輸送能の低下、硬便、排便機能低下などが言われていて、その原因には体質や加齢による消化管や筋肉の機能低下がありますが、糖尿病・甲状腺機能低下症・パーキンソン病などの全身疾患も影響します。また、内服中のお薬の影響がある場合も多いです。
対策としては、規則正しい食事、運動、整腸作用のある食物摂取、便秘薬の内服、排便機能訓練などがあります。便秘薬は多種多様あって、便に水分保持させて柔らかくするものや腸管を刺激して蠕動運動を亢進させるものなどがあり、少し高価ですが副作用の少ない新薬もあります。また、糞便塞栓と
言って便が肛門を塞ぐと腹部の痛みや膨満が激しくなることがあり、早めの座薬・浣腸・摘便対応が有効なことが多いです。
短期間に便通が悪化する場合は、腫瘍や腸閉塞など腸疾患がある可能性もあるので、不安があれば医療機関にご相談ください。

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救急科部長 竹中 洋幸
京都大学医学部卒
京都大学大学院卒
勤務歴:京都大学医学部付属病院、市立島田市民病院、康生会武田病院
専門分野:救急・総合診療科

枚方公済病院
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