おもろいんやで歴史漫談:ぶらり 岩清水八幡さん


考古学研究家 植田正幸




 「十一日、雨いささかに降りてやみぬ。かくてさしのぼるに東のかたに山のよこほれるを見て人に問へば『八幡の宮』といふ。これを聞きてよろこびて人々をがみ奉る。」京へ帰還する紀貫之が『土佐日 記』に記した、大山崎町付近から見た雄徳山(おとこやま)の石清水八幡宮です。
 京阪電車石清水八幡宮駅からケーブルに乗り、男山展望台へ。天下分け目の天王山、紀貫之が帰京した桂川、桓武帝が遷都した長岡京、細川ガラシャで有名な勝竜寺城方向…と、素晴らしい景色が広がります。
 国宝である本殿から南に約5分で、エジソン記念碑があります。なんと、八幡市とアメリカの発明王エジソンは深い縁で結ばれているのです。1878年、白熱電球の実用化に取り組むエジソンは何千ものフィラメント素材(細い糸状の線)を試し、八幡の真竹が耐久性に優れた最適の素材であることを発見、白熱電球の実用化に成功。その業績を称え昭和9年、当地に記念碑が建立されました。
 また石清水八幡宮駅から南には神応寺があり、その隣には重要文化財に指定されている日本最大の五輪塔「航海記念塔」があります。高さ6.08m幅2.44m、五輪塔という名称からは想像を絶する巨大さで、一見の価値あり!
 今回は秋の紅葉狩りと、散策に最適な石清水八幡宮界隈をご紹介しました。さあ、私と一緒にぶらぶらしまひょか。




考古学研究家 植田正幸
埋蔵文化財発掘調査担当を経て、考古学・歴史講座を行う。 考古学・古代史探訪サークル顧問・専任講師 「生涯青春塾」北河内歴史講座を担当。現地探訪も企画中