夜尿症(おねしょ)その4 平成20年3月1日号

 さて今回から、昼間の排尿状態に何ら問題がなく、生まれつきおねしょが続いている「真性夜尿」についてのお話です。真性夜尿の原因は、睡眠中の排尿に関する機能が未熟なことであり、ほとんどの場合は成長とともに治ってしまいます。以前、私の病院に夜尿症で受診した患者の方の追跡調査を行いましたが、15歳までに約80%が、18歳までに約95%が治っていました。
 放っておいても治るので厳密には病気とは言えないのですが、布団や寝間着が汚れてしまう現実問題と、わが子の健全な成長を願うご両親の思いから、何とかならないものかと泌尿器科を受診されるのです。また、小学校などでの宿泊行事を控え、焦って受診されるケースも少なくありません。結論から述べれば、真性夜尿に対する特効薬はなく、最も有効な治療法は子どもの成熟を待つことです。
 以前に述べましたように、私の長男も小学生のころは毎晩おねしょをしていました。しかし、昼間の状況から真性夜尿だと判断できたので、ひたすら辛抱強く待ちました。宿泊行事にもすべて参加しましたが、その場合も替えの下着を持たすこと以外は一切特別なことをせずに送り出すことにしました。とは言ってもやはりかわいい子どものことですから、当然気になります。帰ってきた時に恐る恐る「どうやった?」と聞くと、子どもからは「寝えへんかったから大丈夫や、その代わり帰りのバスが眠くて仕方なかった」との返事。子どもなりに、おねしょをしない方法を考えていたのです。わが子が大きく見えた瞬間でした。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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