夜尿症(おねしょ)その5 平成20年4月1日号

 前回は、真性夜尿には周りの者が辛抱強く待つことが重要と、お話しました。では、なぜ辛抱強く待てば夜尿が治るのでしょう?
 その秘密は真性夜尿の原因にあります。真性夜尿には、睡眠中の尿量調節が未熟なために生じる「夜間多尿」、睡眠中の膀胱の安定性が未熟な「夜間膀胱容量減少」、睡眠中の覚醒反応が未熟な「覚醒障害」の3つの原因が関係しています。
 つまり、睡眠中に多量の尿が産生され、それが容量の小さな膀胱に流れ込むためにすぐに膀胱が満杯になるにもかかわらず、簡単には目が覚めずに、睡眠中に排尿してしまう状態が真性夜尿なのです。
 これら3つの原因には脳の中の共通した部分の未熟性が関係しており、成長に伴ってこの未熟性が改善すると、夜尿も治ってくると考えられています。就寝数時間後と朝方に2回程度夜尿をしていた子が、朝方のみの夜尿になったり、夜中に目が覚めてトイレに行くようになると、夜尿が治りつつある良い兆候です。
 しかし、夜尿が治るには本人の努力も重要です。夕食後の水分摂取を控えたり、就寝前には必ず排尿を済ませることは、夜尿の改善にとって有効です。
 また、いくら睡眠中に尿意のために睡眠が浅くなっても、本人に「夜尿をするまい」という意思がなければ覚醒にまで至らず、結局ふとんの中で排尿をしてしまうでしょう。いずれ治るものだけれど、早く治るに越したことはないので、本人と家族があまり深刻にならないで、明るく楽しく取り組む雰囲気をつくることができれば理想的ですね。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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