尿閉について 3 平成21年1月1日15日合併号

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
 新年早々、シモの話で恐縮ですが、今回は膀胱のポンプ作用が徐々に弱くなる状態の、「慢性尿閉」についての話です。 慢性尿閉の最も怖い点は、徐々に進行するために本人が気付かないことです。毎日少しずつ尿が出にくくなっていても、排尿行為自体は一日に何回も行うことなので、案外
「こんなものかな…」で済ましてしまいます。そして、出にくい状態が進行すると、排尿後に膀胱内に残る残尿の量が増えて、すぐに膀胱がいっぱいになるために排尿回数が増える「頻尿」になります。
 「尿が出にくい」よりも「すぐトイレに行きたくなる」方が困ることが多いので、頻尿になって初めて異常に気付く人が少なくありません。更に病状が進行すると、膀胱がいつも尿でパンパンに張り、あふれた尿が少しずつ尿道から漏れる状態になります。これを「溢流性尿失禁」と言いますが、ここまで放っておくと腎不全になっている可能性が高く、早急に処置をしないと命にかかわることになります。
 すなわち、慢性尿閉は本人が気付かない内に腎不全にまでなり得る、怖い状態なのです。慢性尿閉自体はそんなに多いものではありませんが、「前立腺肥大症」と言われながら治療を受けていない男性や、子宮がんの手術を受けた女性などに見られることがあります。糖尿病の治療をいい加減にしていることも、慢性尿閉になる危険性を高くします。思い当たる方はいらっしゃいませんか?

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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