がんの苦痛で代表的なのは、痛みや吐き気など「身体の苦痛」ですが、仕事や家事ができなくなり、生活に支障をきたすなどは「社会的苦痛」、気持ちが落ち込んで何も手につかないなどは「精神的苦痛」、人の世話になる自分に価値がないと感じるなどは「スピリチュアルな苦痛」とされ、互いに影響し、「全人苦痛」と呼ばれる大きな苦痛となります。
緩和ケアの大きな目標はまず、色々な職種が協力して、全人苦痛が少しでも和らぐようサポートすることですが、これだけでは、苦痛を「取り除くべきもの」という視点だけでケアを行うことになります。
しかし実は、命の問題に直面し、明日の希望が断たれたように感じた時にこそ人は、人生の意味や人との絆について深く考え、苦しみの中から豊かな実りを見出すことがあるのです。
それは、衰えゆく自分を素直に受け入れ、これまでの生を肯定的にとらえるということであ
り、そのような境地に至った患者さんは、身体の苦痛も軽く感じられることが多いようです。私たちはできる限り患者さんの心の葛藤に寄り添い、病とともに生きることに意義を感じていただけるようなケアを目指したいと願っています。
さて、がん患者さんの約7割が痛みを経験します。しばらくお休みとなりますが、次回は痛みの専門的治療についてお話します。
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緩和ケア科部長 塚原 悦子先生
日本ペインクリニック学会認定専門医 日本緩和医療学会暫定指導医 日本麻酔学会麻酔指導医
星ヶ丘厚生年金病院
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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