心と膀胱のはなし1 平成21年6月1日号

 過活動膀胱のシリーズが終わり、今回から新しいシリーズの始まりです。
米国の高名な泌尿器科医師の言葉に、「膀胱は信頼できない証人である」というものがあります。さて、何を意味している言葉でしょう?ここでいう証人とは、「医師が患者さんを診察するに当たって必要な情報」という意味で、膀胱とは膀胱で感じる感覚すなわち「尿意」を意味しています。つまり、「尿意というものは極めて不確かで不安定なものなので、尿意に関する症状を診察するのは大変難しい」ということをぼやいているわけです。 実際に、試験を受ける前や緊張した時に、トイレが近くなることはよく経験されますね。また、映画館で映画が始まるまでは何回もトイレに行きたくなるのに、いざ映画が始まると排尿のことなどすっかり忘れて見入ってしまい、映画が終了して館内が明るくなると急に尿意を催してトイレに駆け込む、ということも珍しくありません。このように、尿意というものは極めて自分勝手な振る舞いをするものなのです。
 試験の例や映画の例で分かるように、尿意すなわち「トイレに行きたい感じ」は、その時の精神状態や心理状態の影響を強く受けます。その時その時の心理状態で、尿が近くなったり遠くなったりすることは、極めて正常なことなので、全く気にする必要はありません。ところが、この尿意に心を占領されてしまい、何回もトイレに行かないと気が済まなくなってしまうことがまれにあります。このような状態を「心因性頻尿」と呼びます。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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