腎臓について3 平成21年12月1日号

 腎臓にできる腫ようの中で最も要注意なのが腎臓のがん(腎がん)です。がん全体の中で腎がんの占める割合は約2%と、胃がんや肺がんに比べると少ないのですが、近年、増加している病気です。
 以前は発熱、食欲不振、体重減少など、一見、腎臓とは無関係な症状(尿路外症状)や血尿などで見付かるケースが多く、発見時には、既にその半数以上が転移のある進行がんという非常に怖いものでした。
 しかし、最近では患者さんの約8割の方は症状がなく、健診やほかの病気の検査中に偶然見付かっています。このような偶発がんの患者さんの多くは、根治が期待できる早期がんです。超音波検査などで腎臓に異常が指摘された時は、早急に泌尿器科への受診をおすすめします。
 腎がんの治療の基本は手術が第一です。以前は開腹し、腎臓を摘出していましたが、最近ではおなかに数か所の穴を開けて行う腹腔鏡手術が主流で、手術後の痛みが少なく、入院期間の短縮も期待できます。特に、4㎝までの小さながんの場合は、腎温存手術と言って、悪い所だけを切り取ることも可能で、私たちも積極的に行っています。
 最後に、腎がんは特殊な遺伝性疾患(腎がんが遺伝しやすい訳ではありませ
ん)や透析を受けておられる患者さんにできやすいのですが、身近な原因としては、肥満や喫煙があります。私も含め、改めて注意したいものです。
 次回は腎がんと間違えやすい腎臓の病気についてお話しする予定です。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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