副腎の病気2ー褐色細胞腫ー 平成22年5月1日号

 副腎の病気には血圧と関連深いものが幾つかあり、「褐色細胞腫」もその一つです。これは副腎の内側、髄質という所にできる腫瘍で、30~50歳代に多く見られ、高血圧症の原因の約1%を占めると言われています。両側性、悪性腫瘍、副腎外発生、家族性の割合がそれぞれ約10%に見られることから、以前は「10%病」と呼んでいました。
 主な症状は著しい高血圧や頭痛、高血糖、発汗過多、代謝亢進などで、これは腫瘍からカテコラミンという、血管や心臓を収縮させるホルモンが過剰に分泌されることにより引き起こされます。そのほか、動悸や便秘、やせ、胸痛、吐き気、立ちくらみ、視力障害などその症状は多様で、特徴的なことは、半数以上の人はこれらの症状が発作的に現れるということです。発作はお腹の中の腫瘍が圧迫された時に起こりやすく、腹ばいや前かがみといった姿勢、食事、排便時などでも起こり得ます。
 中でも注意が必要なのは発作性の高血圧で、急激に血圧が上がったり、脈が速くなったりして、急性の心不全や脳出血などを引き起こし、生命の危険すら起こることがある、怖い病気と言えます。思い当たる症状のある方は、一度、精密検査を受けた方が良いでしょう。
 良性の褐色細胞腫は外科的切除により、90%以上は治癒可能です。術式は大きな腫瘍を除き、腹腔鏡下手術が普及してきています。

泌尿器科部長 百瀬均院長 大山信雄先生
星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641

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